[文学] 町田康 『告白』
町田康の新作 『告白』 は、 河内音頭で知られる河内十人斬りを題材にした長編。 かなり評判がいいようだが、 想定の範囲内 ((C) T. Horie) といった展開に終始し、 町田作品らしい驚きは少ない。 これまでの町田作品について行けなかった読者 (というより評論家) にも理解できたということか。 参考資料にあげられている幸枝若や菊水丸の名演、 快演には及ばず。どんづまり、 主人公熊太郎が自決する直前の一瞬の描写がいい。
熊太郎は空に向かい、 涙を流して言った。
「すんませんでした。 全部嘘でした」
「すんませんでした。 全部嘘でした」
とうとう、 自分の気持ちと言葉が一致したことはなかった、 心と行為が一致したことはなかったという無念。 燃焼し切れなかった作者の残念気分も反映しているように見える。
