2005-04-23
[]  丹下左膳・抄


何かと邪魔になる丹下左膳まで
通りすがりの屑屋へおはらいものになって
三日も四日も家へ寄りつきゃアしない
お兼は
どぶ板をならして家を出た
むりはないので
計略が図に当たって
茶壺だね
その穴へ左膳がおちこんだのをこれ幸いと
父上あがってこられない父上
その左膳のおちた地中に
峰丹波の下知で
とやかくするうちにはや
とやかくするうちにはや
何やらけつまづいたようす
こんな述懐にふけっている最中
これで夜中を待つといたそう



いつしか
犬が十二匹という盛大ぶり
乞われるままに
先生が来てから
こんなことだろうと思ったよ
むりがむりでなくなれば
毎夜こうして
先生に白黒をつけておもらいしてえと思いやしてね
とんがり長屋の人達は
グイと握った二つ折りの手拭で
まずこの江戸の人心から改めねばならぬ



お美夜ちゃんは
ここが大事なところと
そっとその耳にささやけば
つもる話はあとでゆっくり
ひと役働いてもらわねばならぬ
淋しいのも忘れたお美夜ちゃんが行って助けてやろう
作爺さんは足がきかないので
あたいには
いっぱしのことを言って
世にあらゆる災厄を流して頼むチョビ安さんだわ
いっぱしのことを言いながら
どうしてここにあるんだい
世にあらゆる災厄を流して頼むチョビ安とやら



あとには、穴埋め役の一同
捨て石の一つもおっ立てておいてやるんだな
あんまりいい気持はしないので
この地の底が抜けて
オイ
すでに水浸しでござろう
婆あだって引っこんでいられますか
左膳も源三郎も
水に押しあげられ
源三郎塚とでも名がつくであろうよ
手ごろの石をさがしに行った結城左京ら八人
そこまで埋めるとなると
轟と水音のこもって聞こえるのは
一刀を前半にたばさみ
下帯一つにむこう鉢巻のもの
よもや先生を見殺しにゃアしめえナ
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