[雑] 一時代がまるごとわかる本
四方田犬彦で思い出したこと。最初に読んだ四方田の本は、 87年刊の 『最新流行』。 おれだって少しはトレンドぐらい知らなくちゃ、 というさもしい欲求に訴えかけてきた題名だったが、 じつは、 「かつて最新流行だったもの」 というシニカルなネーミングでした。 ではあるのだが、 四方田にとっての 「かつての流行」 はわたしにとっては 「最新流行」 だったのであり、 それから10年間ほど、 わたしはこの本一冊で世をわたってきた。 四方田犬彦の本やそこに書いてある話題をともにできるような者は、 自分の交友範囲にいなかったから、 世をわたったというのは変な言い方なのだが、 そうだな、 時代をわたったと言い換えようか、 この本のおかげでかろうじて時代とともにあったという感がある。
古代や中世ならともかく、 一時代の文化状況を一冊で把握できるような本はそうないだろうが、 四方田の 『最新流行』 はそういう本でした。
