[美術] ジャクソン・ポロックの神話
金井美恵子が言うには、(…) ポロックのアメリカ現代絵画は、 現代美術に決定的な影響を及ぼしたというよりも、 むしろはじめて 「アート」 がヨーロッパ=パリの覇権を破って 「ニューヨーク」 をその中心としたというアメリカン・モダン・アートの建国神話といった方が正確だろう。 美術批評家グリンバーグを中心に作られたアメリカン・モダン・アートの独立宣言による覇権の獲得。 ―― 金井美恵子 『切りぬき美術館 スクラップ・ギャラリー』
なるほどなあ、 そのとおりに違いない。
まとめて読んだことはないが、 金井美恵子の美術エッセイはいいものだろうと思う。 前にデルヴォーの画集で、 「おばさん顔」 と評したのを読んだときは笑った。 いま読み直してみれば、 正確には次のとおり。
この女性に魅せられた長生きの画家の老年の写真を見ると、 イングリッド・バーグマンが80歳まで生きたら、 こんな顔になったのではないだろうかといった趣なのだ。 (…) 老年にいたって、 あたかも画家自身が女性になってしまったような印象をあたえる。
息子を異常に溺愛することによって抑圧的であったと伝えられる母親が死んだのはデルヴォーが35歳の時だったが、 老年の彼の顔は、 案外、 母親の顔とそっくりになっていたのかもしれない。 ―― 『現代世界の美術 19 デルヴォー DELVAUX』 (集英社)
息子を異常に溺愛することによって抑圧的であったと伝えられる母親が死んだのはデルヴォーが35歳の時だったが、 老年の彼の顔は、 案外、 母親の顔とそっくりになっていたのかもしれない。 ―― 『現代世界の美術 19 デルヴォー DELVAUX』 (集英社)
このデルヴォー論で金井はついでみたいに、 デルヴォーの絵に登場する眼鏡の教授がジュール・ヴェルヌ 『地底旅行』 の挿絵で見るリーデンブロック博士であることを指摘しているが、 もちろん彼女は、 ヴェルヌが女性を描くことの苦手な、 というより女性を描くことにほとんど興味のない作家だったことは承知の上だろう。
いつものことで、 こんな短いコラムでも、 わたしは途中でテーマが変わってしまいます。
