[詩] 一角獣
国境の麦畑をジャンがやってくる
国境の麦畑には
一角獣がひそんでいるはずと
ジャンはいま察したところ
けれど真理を知ったものが
どんな顔をするかといえば
そんなことを知ったという事実に驚いて
でも、大きな驚きではない
少し呆(ほう)けた顔をして
あると察した真理のあたりを
焦点不確にながめるだけ
そして私が
姿を現すことはない
真理の在りかを知った男と
真理そのものである私が
出会ってしまったら
なんだか気まずいではないか
静けさとは
ジャンよ、おまえも
どんなものか知ってるだろう
静けさとは
音のないことではない
空にはヒバリが鳴き
麦の穂をなでて風がわたり
どこかで水車が軋(きし)んでいて
陽光のそそぐ音さえ聞こえそうな
それが静けさというもの
幸運を、よい旅を