前項でみつけたブリッジを色分けしておく。 もうひとつ、 これはブリッジより一回り大きい構造なので別の名前が必要だが、 それも追加しておく。
[I]
どや街で
かれらは六人の中国人の漁師を呼びとめた
長靴のなかに
二千八百万ドル相当の麻薬を
隠し持っていた。
[II]
かれらの話では哀れな
夢のなかで
ねむっている妻の体に
蝶々を描いたのは
ハウスボートの
小人の老人だという。
[III]
絵描きたちは、 とかれらはいう、 いちばんの安値でただちに売り払う。
[IV]
その間、 それを耳にした
香港のふとった男は
芸術はやめることにした、
そして
その間、 ミスター正義をして
新しい清潔なシーツを汚させるために
いらいらしていた
―― 中上哲夫訳
先夜
新月のもと
カッコー時計のねじはしっかり
巻かれ
サンペドロの新月のもと
カッコー時計のねじはしっかり
巻かれ
どや街で
かれらは六人の中国人の漁師を呼びとめた
長靴のなかに
二千八百万ドル相当の麻薬を
隠し持っていた。
[II]
かれらの話では哀れな
夢のなかで
ねむっている妻の体に
蝶々を描いたのは
ハウスボートの
小人の老人だという。
[III]
絵描きたちは、 とかれらはいう、 いちばんの安値でただちに売り払う。
[IV]
その間、 それを耳にした
香港のふとった男は
芸術はやめることにした、
そして
その間、 ミスター正義をして
新しい清潔なシーツを汚させるために
いらいらしていた
男はある数字をダイアルした
そして最後から二番目の
アメリカの
ヒーロー
の暗殺を
お膳立てした
そして最後から二番目の
アメリカの
ヒーロー
の暗殺を
お膳立てした
―― 中上哲夫訳
灰色でマークした最初の4行と最後の6行の対応が新しい発見。 はじめにカッコー時計のネジが巻かれる。 ネジを巻かれた時計は、 いつか鳴り出すだろう。 その期待あるいは不安に応えて時限装置の動き出すのが、 最後の6行ではないか。 ついでにみつけたのが、 オレンジでマークした 「カッコー時計」 と 「ダイアル」。 音の出るものという共通点によって、 これらもブリッジの働きをしている。
詩を書き進める原動力はパッションとスピードだから、 これらのブリッジや構造の機能に、 作者が初稿の段階から意識的であったかどうかはわからない。 推敲の過程でも、 どの程度意識的だったか。 もちろん、 かりに無意識だったとしても、 無意識の技巧と美学は働いている。
訳文をもとにこれ以上こまかく詮索するのはまずい。 そのうち原文を見て、 何か考えたら続きを書く。
- 六人の中国人の漁師 (1)
- 六人の中国人の漁師 (2)
- 六人の中国人の漁師 (3)
- 六人の中国人の漁師 (4)
