[詩] 一九四五
数年の逡巡を経て一九四五年
マルコはギリシャに行き
そこでエリア・ヴェネシスの
小説をもとにした
ギリシャ人の強制移動について
の映画 『のどかさ』
を撮ることにした
その年が何の年であったか
人々は思い出してまた笑った
いつも忘れられてしまう年
一九四五年、 遠いカタイで
机の上に置かれた拳銃
最後の日々のドキュメンタリー
そして映画ができあがる
黒い雲を割って
地上に差し込んでくる夕陽が
赤々と裸体を照らす
マルコはリヴォルバーを
川岸の雑草に放り投げる
片足を水につけ、 吐息をもらす
ああ、 これほどの無駄が
必要だったとは
