[詩] 赤兵衛
やけに暑いと思ったら空に真っ赤な二枚舌
昔々のその昔から
いつかは出ると言われていたが
地に湧くはずの赤いマグマが
天を破って垂れてきたから
人間界は大騒ぎ
焼けただれた舌先に
ぺろり舐められて
アフリカあたりでは
一国すでに焼け野原とか
こちらオホーツクでは
時ならぬ解氷というのに
東京湾ははや空濠
まあ、いいや
おれにどうにか
出来ることなんかではない
それより、 どいつが
どういう手を使ったか
と思案しかけたところへ
向かいの店から
素知らぬ顔で例の赤兵衛
ははあ、 こいつか
やい、 おまえだな
近ごろ世間を騒がせてる二枚舌は
問い詰めると
なにやら口の中でもごもご
待ってもらちはあかないから
ぎゅぎゅっと首を締め上げたら
苦しがって開けた口には
思ったとおり舌がない
やっぱりだ
一人でうまいことをしおって
おい、 おれにもやり方を教えろ
教えなければ絞め殺す
といったひと時がありまして
今日からは、 おれも赤兵衛
空に真っ赤な五枚舌
