[詩論] 思いあふれて
思いあふれて 歌わざらめや―― 佐藤春夫
これだな、今のおれが忘れてるのは。
朝、目がさめて、
な~にを食おうかな~
―― おれ
と、ひとりでに出てくる言葉
ついね、どうでもいいけど
こぼれてしまうもの
それが詩とか歌とかいうものだろう。
どこかの誰かに
似た面差しの人を見かけて、
すがりつきたい あなたが欲しい
―― 中尾ミエ
と、実際にやったら
犯罪まがいだが、
ついつい、あふれてしまうもの、
こみあげてくるもの、
余ってしまうもの、
そういうのを歌わなければいけない。
かっこつけすぎだよ、おれ
だけじゃなくて、書けない人は。

