2008-03-30
[]  小豆洗いのこと
なさけないなあ、こんなところで殺されちゃって。おれ、小豆洗いっていいます。

あずき男のことはときどき思い出す もとはあずき小僧といったのだ なぜなら そいつは山寺の小僧だったが 谷におりて あずきを洗ってる最中 同僚の坊主に突き落とされて だから坊主なんて信用してはいけないんだが 岩に頭をぶちつけて 死んでしまって それ以来だ ときおりこの世に現れて というか 死んだくせに あいかわらずこの世にいるわけで あずきをとぎながら泣いたり笑ったり ―― そういうわけで はじめは小僧だったあずき小僧も 年月がすぎれば 小僧も年をとって いまではあずき男 あずき爺ィ
思い出すのは ほかでもない ザルからこぼれたあずきのひと粒が ころころ転がって 世界の滅亡をたくらむ加藤保憲の溶鉱炉に 転がり落ちた場面だが あずきを追って あずき男も転がり込んだのだったか そのへんが定かでないが ただあずきをとぎながら 笑ったり泣いたりするだけ ひとを怨むことさえできないゴミみたいな存在が ときに世界の歴史を変えることがある ―― わけはないのだが でも そんなこともあって欲しいと 想像するのは やはり愉快なことではあるのです
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