浦島雑誌(旧)
2009-03-12
[]  虎か月か
虎になるか、月になるか
という問が
ある日立てられた

人が中島敦の「山月記」に
出会うとしたら
それは必ず若い頃であるはずで
なぜなら「山月記」は
なりそこなった詩人の
挫折の物語で
老いてからそんなものを
読むのはつらすぎる
だけど、どうして
そこのお前
若くて体力も気力もある時期なのに
そんなやりそこないの話に
ひかれましたか

虎になるか、月になるか
虎になって、わびしく地上をうろつき回るか
月になって、その光景を白々と照らすだけの夜々か
虎になりたくなかったら月なんだが

虎と月 (ミステリーYA!)
柳広司
理論社 (2009/2/3)

[内容紹介]
父は虎になった ――。そんなこと、簡単に信じられるものではない。ぼくだってそうだった。
しかし、父に会った、という人物からもらった手紙には、父がその場で詠ったという一篇の漢詩が書かれていた。その詩には、虎になった人間にしかわかりえない、悲痛な心の叫びがこめられていた。
父の血をひくぼくも、いつかそうなってしまうのだろうか。それはちょっと勘弁してほしい。
父がどうして虎になったのかを知りたい。それが波乱万丈にして、不思議な旅の始まりだった……。
中島敦『山月記』に想を得た、奇想天外な青春ミステリー。
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