[詩] 虎か月か
虎になるか、月になるか
という問が
ある日立てられた
人が中島敦の「山月記」に
出会うとしたら
それは必ず若い頃であるはずで
なぜなら「山月記」は
なりそこなった詩人の
挫折の物語で
老いてからそんなものを
読むのはつらすぎる
だけど、どうして
そこのお前
若くて体力も気力もある時期なのに
そんなやりそこないの話に
ひかれましたか
虎になるか、月になるか
虎になって、わびしく地上をうろつき回るか
月になって、その光景を白々と照らすだけの夜々か
虎になりたくなかったら月なんだが
という問が
ある日立てられた
人が中島敦の「山月記」に
出会うとしたら
それは必ず若い頃であるはずで
なぜなら「山月記」は
なりそこなった詩人の
挫折の物語で
老いてからそんなものを
読むのはつらすぎる
だけど、どうして
そこのお前
若くて体力も気力もある時期なのに
そんなやりそこないの話に
ひかれましたか
虎になるか、月になるか
虎になって、わびしく地上をうろつき回るか
月になって、その光景を白々と照らすだけの夜々か
虎になりたくなかったら月なんだが
虎と月 (ミステリーYA!)柳広司
理論社 (2009/2/3)
[内容紹介]
父は虎になった ――。そんなこと、簡単に信じられるものではない。ぼくだってそうだった。
しかし、父に会った、という人物からもらった手紙には、父がその場で詠ったという一篇の漢詩が書かれていた。その詩には、虎になった人間にしかわかりえない、悲痛な心の叫びがこめられていた。
父の血をひくぼくも、いつかそうなってしまうのだろうか。それはちょっと勘弁してほしい。
父がどうして虎になったのかを知りたい。それが波乱万丈にして、不思議な旅の始まりだった……。
中島敦『山月記』に想を得た、奇想天外な青春ミステリー。